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住職の言葉

「今月の言葉」や「法話」一覧ページです。
住職:長谷川岱潤

住職の言葉 - 一覧


2023年2月1日 - ≪法話

2月のお話

 ホームページをご覧頂きありがとうございます。今月は弟子の岱忠が担当させて頂きます。日本海側では大雪が降り、普段あまり積もらない地域でも雪に悩まされた一月末となり、暦通りの厳しい寒さとなりました。まだまだ寒さが続く日々となりそうです。燃料費・電気代等高騰しておりますが、お身体を第一に考えどうぞご自愛くださいませ。
 この二月は仏教徒にとっては大切な日がございます。お釈迦さまお誕生の四月八日の「灌仏会」(または花まつり・降誕会など)、おさとりを開かれた十二月八日の「成道会」、80年の生涯をとじられた二月十五日の「涅槃会」、この三つの法会を三大法会とし全国各地の寺院で修せられます。
 この涅槃とは、「さとり」と同じ意味をもっている言葉で、サンスクリット語の「ニルヴァーナ」を語源とし、迷いの火を吹き消した状態であり、輪廻から離れたことを指します。迷いの根源である肉体から煩悩の火が吹き消されたということです。苦の根源である煩悩が心身ともに「滅」の状態に入ったことから入滅とも呼ばれます。
 当寺でも、涅槃図を掲げ、二本の沙羅の木の間でお釈迦様が最後に頭を北に西を向いて横たわられて、沢山のお弟子さんに見送られて亡くなっているお姿の絵図をみることができます。
お釈迦さまの遺言ともいえる有名な教えがあります。

私がなきあとは、今まで教えてきた法を灯明とし、自らを灯明とせよ

という教訓でした。お釈迦さまの教え(法)が私自身の支えとなる明かりであるといこと、また、私自身の人生の営みのなかで培ってきた自分自身を拠り処にせよと、そして

この世のことはすべてうつろい、永遠なるものは一つとしてない。怠ることなく一生懸命につとめよ

という言葉をお釈迦さまは最後に残されました。私たちすべては、常に移り変わるからこそ一つ一つが尊く、大切な経験となり、自身を信じ正しく歩みなさいとおっしゃっているのだと思います。そしてその思いをつなげていくことが、お釈迦さまの教えが私たちの心の中に生き続けるということなのではないでしょうか。
 自身を振り返ってみますと、先月初めに不注意から右手中指を負傷し、皆様に助けられて生活してまいりました。傷による痛みと、できないことのもどかしさを感じながら過ごしてきましたが、その時々にいろいろな方々のやさしさに触れ、支えられてきたことを忘れずに、傷が癒えて普段の生活に戻ったとしても、このやさしさを次につなげてゆきたいと思います。あるものが変化し移り変わるからこそ得られる思いであり、その変化から生まれた思いを信じ、仏の教えとともにあせらず一歩一歩着実に歩んでゆきたいと思います。

合 掌

2023年2月1日 - ≪今月の言葉

南無阿弥陀仏 生死輪廻の根を断たば
  身をも命も 惜しむべきかは  徳本行者

これは徳本行者の辞世の句で、
江戸末期の高僧で昼夜を問わず念仏に打ち込む念仏行者。
関東や東海、北陸にも足を運び「生き仏」と称されました。
戒法寺にも仏足石とともにその「御名号」石碑がございます。
来寺の際にはどうぞお参りください。

2023年1月1日 - ≪今月の言葉

輪飾りをかけてもらひてかしく墓  清崎敏郎

 お正月はお墓にも松や千両が入り賑やかになる。

お墓に輪飾りをする習慣は東京にはないが、

先祖と共に正月を祝うのも一興かもしれない。

お墓は、私たちのふるさとだから。

2023年1月1日 - ≪法話

1月のお話

 あけましておめでとうございます
 戒法寺ホームページをご覧頂きありがとうございます。
 年改まり令和五年がスタートしました。今年もよろしくお願いいたします。
 毎年暮れの30日に高校卒業後、仲のよい四,五人の仲間で同窓会の忘年会を行い、その年の自分たちにおきた重大ニュースを一位から十位まで順位を付けて記録してきました。その会が昨年五十回目を迎えました。決まり事は上位はおめでたいことにすることとしてきました。若いときは結婚だとか、子供が生まれたとか、課長になったとか、そんなニュースが必ずあったのですが、最近は誰々の家何事もなく平穏というニュースが多くなり、何事もないことが幸せなのだということを感じるようになりました。
 お正月には寺は「修正会」という法要を行います。この法要の起こりは奈良時代に東大寺などで行われた「吉祥悔過法要」が源流といわれています。この法要は「吉祥天」を本尊として、天下泰平、除災招福を祈るもので、現在でも薬師寺などで行われているようです。
 このご本尊とされる吉祥天は、元はインドのヒンドゥー教の女神ラクシュミー、幸福と智慧をつかさどる神さまで、繁栄と幸運をもたらす功徳天です。そしておもしろいのは吉祥天には双子の姉妹がいて、妹は災難と不幸をもたらす黒耳天という貧乏神です。そしてこの姉妹はいつも一緒に行動しているというのです。
 家を訪問すると最初に吉祥天が顔を出します、「私は幸運をもたらす功徳天よ」と言うと、家主が喜んで中に入るように言います。すると後ろから黒耳天がくっついてきます。「お前ななんだと」言うと「私は不幸をもたらす貧乏神よ」言います。家主は「冗談じゃない、とっとと出て行け」と言うと、先に入った吉祥天も「私たち姉妹なの、一緒じゃないとだめなの」と言って出て行ってしまう。
 そんなお話が経典には書かれています。幸福と不幸はあざなえる縄の如しと言いますが、良いことばかりを求めても、必ず悪いこともおきると言うことが昔から言われているようです。
 「一年の計は元旦にあり」などとよく言いますが、正月気分というのは、日常生活の気持ちとはちょっと違って、一種の興奮状態とも言えます。だからあまり殊勝なことは考えない方が良いでしょう。 欲を持つことが全て悪いことだとは佛教では言いません。それがどういう縁と結びつくかで良くも悪くもなります。だから吉祥天にお願いすることも良いことでしょう。でも何よりもの幸せは、平穏なことのような気がしてきました。

合 掌

2022年12月1日 - ≪今月の言葉

いそがしく 時計の動く 師走哉  正岡子規

ゆとりのないときこそ
お念仏を称えこころを穏やかに
わが身を振り返り
明日の期待へ繋げたい

2022年12月1日 - ≪法話

12月のお話

 ホームページをご覧頂きありがとうございます。先月に続き今月も弟子の岱忠が担当させて頂きます。今年も残すところ一か月となりました。一年を振り返ってみますとどんな一年だったでしょうか。先月終わりにはサッカーワールドカップで日本代表が強豪ドイツに勝ち大いに賑わい、早めの忘年会など、忙しくされた方も多かったと思います。
 さて、12月は「師走」と旧暦の呼び方を思い浮かべる方も多いかと思います。諸説ありますが、この師というのはお坊さんのことを指して、お坊さんが走り回って忙しくしていることが由来のようです。この師走の由来にあるように知恩院では12月の2日から4日、増上寺では9日から11日、各お寺でも12月中に日を選んで「仏名会」をお勤めいたします。
 この仏名会とは、一年間の身や心の汚れを洗い流す、懺悔滅罪のために、阿弥陀仏の名号を称え礼拝する法会のことです。これはお経の中に、
「南無阿弥陀仏」と称えれば、平穏な日々を過ごせ、諸難から離れ、諸罪が消え、将来悟りが得られる。
とあることに基づいています。
 年末になると、どうしてもついつい「忙しい」という言葉を口に出してしまうことが多いのですが、この忙しいという字は心(りっしんべん)に亡くすと書きます。私も自身を振り返ってみて、心を亡くしてしまったように「忙しい、忙しい…」と言ってしまっています。
 確かに忙しい時もあったかもしれません。でも、それはみんな一緒で自身が忙しい時は相手も忙しいのかもしれません。忙しいという言葉を使うことによって相手をおもいやる気持ちをなくしてしまい、傷つけているかもしれません。どうやら、私は心を亡くしていたのかもしれません。
 このように考えますと、私はことば一つをとっても、知らず知らずのうちに相手を傷つけているのだと思いました。自分は罪など犯していないし、懺悔するような悪いことはしていないと思ってしまいますが、それこそまさに自分の力を過信し相手を傷つけてしまっているのではないかと思います。両手が塞がり扉を開けずにいる時に、そっと手を差し伸べるといった小さなこともせず、私は、私はと、自分を優先して忙しいと言い訳している自分がいるように感じます。
 私自身振り返ってみますと、このようなことが山のように積もっているように思います。その時々にいろいろな方々に支えられ助けられ阿弥陀様が見守っておられるにも関わらず私自身は気づいていないことが多いのです。未熟者の私に気づかせていただく為にも、そして、こころあらたに新年を迎える為にも、この一年を振り返り阿弥陀様の前で懺悔し、お念仏とともにこころの大掃除をしたいと思うのです。
 当月18日、17時から18時頃まで、当山本堂にて礼拝し、お念仏をお称えしたいと思います。参加希望の方は、当ホームページに、ご一報頂ければと思います。

合 掌