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住職の言葉

「今月の言葉」や「法話」一覧ページです。
住職:長谷川岱潤

住職の言葉 - 一覧


2022年9月1日 - ≪法話

9月のお話

 秋の気配が少しづつ感じられ、まだまだ不安の募る中、ほっとしている今日この頃です。
 大本山増上寺に残る『縁山史』によりますと、戒法寺は元和8年(1622年)に、本芝、現在の金杉橋付近に創建されたとあります。開山上人は専譽良呑上人とあります。専ら良く飲むとはなかなかすごいお名前です。その後寛永9年(1632年)に麻布我善坊谷(狸穴)に移転し29年間活動しますが、明暦の大火で焼失し、土地は甲府の大納言徳川綱重の御用地で召し上げられ、浄土真宗の金蔵寺さんにお世話になって、延宝2年(1674年)に現在の地大崎村に移転がかないます。この土地は元々増上寺の下屋敷と言われる土地で、召し上げられたときにここへの移住が決まっていたようです。結局この土地に狸穴時代共に過ごした四ヶ寺と共に移転してきたようです。
 江戸期を偲ぶ物として境内に、立っている片足の「仏足石」の石碑と、その上に徳本上人揮毫の御名号の石碑があります。「仏足石」とは、釈尊亡きあと仏像を作ることができなかった時代に、その足跡を礼拝の対象として作った、最も古い信仰形態で、我が国最古の物は薬師寺にあります。通常は置き石に刻まれるため雨などで文様は消えてしまうのですが、我が寺の物は立っているので、仏の32相の一つ足跡の千輻輪等がはっきり確認することができます。ただ昭和20年の東京空襲で焼けてしまい、今はかなり朽ちてしまっているのが残念です。またその上の御名号は、江戸末期の快僧徳本上人の御名号で、名号石は全国に1500以上存在するも東京都内には6ヶ寺ほどです。徳本上人は知る人ぞ知るの人で、4歳で念仏に発願し、16歳の時から不臥・座眠(横になって寝ることなく)、食事は1日に豆粉一合という生活を、61歳で亡くなるまで貫いた方で、荒行苦行断食の不断念仏の生活は40年間以上続けたと言われ、そのことから起こった奇瑞の数は数知れないが、ただ本人は法然上人の一枚起請文のみを唯一の師として、和歌を取り入れたやさしい法話を行い、全国で大名から庶民まで多くの方から人気を博した。そういう上人です。
 また以前は寺町入り口にあった「木食心譽一道上人」の石標があります。一道上人も木食とあるように徳本上人と同じ修行に明け暮れた上人で、疫病退散を願って般若心経三千巻を書写して埋蔵し般若塚を建立した人です。また、江戸中期の読本作家であり、雑学者であった高井蘭山師のお墓もあります。次回を楽しみに。

合 掌

2022年9月1日 - ≪今月の言葉

秋彼岸袂ひろげて飛ぶ雀  川崎展宏

 コロナだ、異常気象だとふさぎ気味な日々

雀の姿を追って上を向くのも良い。

三味線の音で、気持ちを奮い立たせるのも良い。

何でも良いから、前を向いてゆこう。

2022年8月1日 - ≪法話

8月のお話

 今月もホームページをご覧いただきありがとうございます。
住職からお話がありました通り、今月は弟子の岱忠がホームページの「お話」を担当させて頂くことになりました。今後は、偶数月には私のお話ができればと考えています。どうぞお付き合い頂ければ幸いです。
 本来ですと、7月からの奇数月での担当となるはずでしたが、新型コロナウィルスの感染とそれに連なる後遺症に苦しめられ執筆することが叶わない現状がございました。自宅療養の10日間では、40℃近い熱に一週間近く浮かされ、また頭痛、めまい、咳、喉の痛みと倦怠感、今言われています症状が漏れなく現れました。唯一味覚障害がなかったことが救いでした。
 熱が出てふらふらだった初期のころは、とにかく何も考えられず、ひたすらに床に臥せっておりました。今になって振り返ってみましてもただただ布団の中で横になっていたなと思う感じでした。私にとって辛かったのは熱が下がり療養期間の終える頃でした。熱が下がると意識はしっかりしてくるのですが、倦怠感は依然として残り、身体が思うように動かなかったのです。心と身体がバラバラにされたような感覚で、普段何気なく扉を開ける行動が、思っている動作と実際の身体の動きが合わず、まるで時間軸がずれたような動きになっている感じで開けるのに苦労しました。朝起きて暫くは目が覚めているにも関わらず身体を起こすのにも時差があるようで数十分は起き上がれないというような状況でした。
今まで、何も考えずともできていたような行動ができなくなるという感覚は衝撃的でした。
 病などによって引き起こされる苦しみについて、今から数千年前にお釈迦さまが人間には四つの苦しみがあると説かれているのです。それが皆様ご存じの「生老病死」の四つの苦です。今回のような体験は直接的にみれば新型コロナに感染し、症状が現れて苦しいという四つの苦しみの一つなのですが、この苦しみとは実は「自分の思うようにならない」という意味そのものなのです。生きている限り、思い通りにならないことはたくさんあると思います。今回の件でも、感染したことによって自身の思い通りにならなかったことがたくさんありました。この辛い経験をポジティブに受け入れ、自分の思い通りにならないことが「あたりまえだ」と思えるように切り替えることができれば毎日の生活が楽になるような気がします。
 このような心持ちに切り替えることは一人では難しいことなのかもしれません。私自身も、自宅療養中やその後の後遺症に悩まされているときに、様々な方々から支援物資や心がやすらぐことばを頂きました。誰かが苦しんでいる時にその苦しみを直接取り除くことはできないのかもしれません。しかし、助けてくれるというありがたさは、「思うようにならない」という思いから感謝の気持ちへと変わり、この経験は他の人が苦しんでいる時に「思いやれる」財産になるのだと思います。私達は、一人では生きていけないということ、自分さえ良ければということは、自身が困った時に初めて気づけることなのかもしれません。
 その気づきである財産を心の中に留めておくだけではなく、行動に移すことが大事なのだと思います。私自身も行動に移せないことも多くありますが、一歩一歩、行動に移したいと思います。この行動こそが思いやりの連鎖をより多く広げられるのではないかと思います。

合 掌

2022年8月1日 - ≪今月の言葉

手花火を命継ぐ如燃やすなり  石田波郷

コロナにかかりし辛い日々。

そのつらさがこの私を鍛えてくれる。

そう思えたときに、病もまた人生の調味料。

苦くてまずい、なくてなならない調味料。 

2022年7月1日 - ≪法話

7月のお話

 気象観測史上最も短い梅雨が終わり、とてつもない酷暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
 今月から隔月で岱忠君に書いて貰うことになっていましたが、6月の初旬コロナ陽性になってしまい、10日間の隔離生活の後、強い後遺症におそわれてしまい、のどの痛みと倦怠感で1ヶ月の安静を医者から言われてしまいました。そんなことで期待されていた読者諸兄には申し訳ありませんが、今月も住職が担当いたします。来月は書いて頂き、岱忠君には偶数月担当と変更いたします。
 6月27日の朝日新聞の文化面に「日本は世界で何位」という企画があり、今回は「世界人助け指数」で何位かが出ていました。これは英国の慈善機関の調査で、過去一ヶ月の間に「見知らぬ人を助けたか」、「寄付をしたか」「ボランティアをしたか」などを聞き取りで調査したもので、1位はインドネシア、2位はケニア、3位はナイジェリアでした。さて日本は何位かというと、調査した114カ国中114位、つまり最下位でした。この結果に唖然としてしまいました。私のような世代の人間からすると、信じられない結果でした。そういえばある雑誌に今の日本人の信条を「カネだけ、今だけ、自分だけ」と書かれていたことを思い出し、まさに餓鬼道だなという思いをしたことを思い出しました。
 仏教では六道輪廻を、後生(死後の世界)としてとらえるのではなく、今の状態を表現するものとしてとらえます。ある武道家が弟子が毎日神社の鳥居に立ちションをしても、罰が当たらないと豪語している姿を見て、武士たるお前が立ちションをすること事態、すでに畜生道に落ちているという罰が当たっていると言った言葉からもうかがえます。
 私たちは日頃から注意をしておかないと戦うことが正しいかのごとく思う修羅道や、愚かさがわからない畜生道、貪りの止まらない餓鬼道、怒りが収まらない地獄道の心になってしまうと説くのが仏教です。私の寺でも毎年7月の第一土曜に「新盆施餓鬼会」を勤めます。この餓鬼に施すという法会は、餓鬼道に墜ちている先祖を救済するというのではなく、私たちの心に巣くう餓鬼を意識して、私たちが求める心をとどめて与える心に転化することを、実践を通して行うことで、お浄土のご先祖が安心して過ごして貰うことを目的にしています。なぜなら私たちのご先祖は誰一人餓鬼道などには墜ちていません。皆さん阿弥陀様の国、お浄土にいるのですから安心して下さい。けっして巷に出ている解説書など参考にしないようにして下さい。

合 掌

2022年7月1日 - ≪今月の言葉

大魚板雲を呑まんと半夏生  茂 恵一郎

 大寺院にはよく廊下に魚板がかかっている。

昔はこの魚板をたたいて時間を知らせたという

木魚、魚板の魚は、私たちの怠惰を諫める意味だという

魚は本当に寝ないのだろうか。