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住職の言葉

「今月の言葉」や「法話」一覧ページです。
住職:長谷川岱潤

住職の言葉 - 一覧


2024年12月1日 - ≪法話

12月のお話

 アメリカの大統領選挙も終わり、トランプ氏が圧勝しました。トランプ氏の勝利が決定したころから、黒人の人のスマホに「明日朝10時に農園に集合しなさい。その際身体検査もあります」というメールが飛び交ったそうです。どうもトランプ陣営からの行動だそうで、黒人を奴隷としていた時代を彷彿させるものだそうです。今回の選挙でわかったことは黒人男性は民族差別よりも女性差別の方が強いということがはっきりしましたが、トランプ氏は勝ったとたんにその本性をあらわに、自身の人種差別を明確化したのでしょう。
 それにしても人権問題に携わっていて一番厄介なものが、この男性の女性差別です。これほど根強く、潜在意識に定着している差別は他にありません。普段は顔を出さなくても、いざ権力を持つとなるとはっきりと出てくるのでしょう。ガラスの天井とはよく言ったものです。又お酒が入ったりしても、ちょくちょく顔を出すこともあり、まことに困ったものです。人類史上最も古く最も深い差別です。
 私たちの浄土教で所依の経典としている『仏説無量寿経』には、女性を救いたいの一心から、阿弥陀仏の誓願の第35願に「女人往生の願」があります。阿弥陀仏は第18願で、すべての人を救うとしていますが、極楽が男性だけの世界ということで、あえて第35願で女人は男性に生まれ変わって往生するとしています。 先日も女性と論議になってしまったのですが、「これは差別以外の何物でもない」と言われました。私は2,100年以上昔のインドで、女性が全く救いの対象から外されていた時代背景の中で書かれたものであること、また極楽に男性しかいなければもはや男とか女性の区別はなく、どっちになっても一緒だということなど、阿弥陀仏の女性を救いたいという願いをなぜ理解できないのかと論争になってしまいました。
 かなり前、DVの被害者救済のNGOの方の講演で、「男性はすべて加害者であることを自覚して話を聞きなさい」と言われ、どっきりしたことを今でも思い出しますが、確かに男性同士の話では、身内の女性だとつい下に見る言い方をしてしまい、その場の女性を傷つけることがあります。男性同士では冗談で済んでも、女性にとってはそれでは済まないことを、よくよく考えないといけないようです。でもこれは昭和の人間の話で、若い方々には何を言っているのかと、男性にも怒られそうです。
 経典も言葉であり、その理解は確かに難しいのですが、言葉だけにとらわれず、何が言いたいのか、どこが神髄なのかを探りながら、読んでいただきたいと思いました。

合 掌

2024年12月1日 - ≪今月の言葉

仏の手握りて煤を払ひけり  木内彰志

    今年も師走を迎え、一年が終わろうとしている。

    私も古稀を迎え、そろそろ遊行期かと考え始める。

    師走のあわただしさの中でも、どこかで1日は、

    今年を思い返し、反省する日を作りたい。

2024年11月1日 - ≪法話

11月のお話

 最近トクリュウ(匿名・流動型犯罪)なるもの、いわゆるSNSを使い、闇バイトで募集した人間が犯す強盗事件が関東で多発しています。実行犯となった人は、皆自分の個人情報を握られ「断れなかった」と言っていますが、いざ逮捕され、その罪の重さを知ってさぞや驚愕していることでしょう。なぜ言われるままに、あそこまでの凶悪行為ができるのか、全くわかりません。
 ただ先日の裁判で、無期懲役刑が出た被告人が、「裁判員裁判なのだから最高刑『死刑』を求めた」との記事を読み驚きました。法律に詳しい方がネットで、「刑法28条に無期懲役でも10年以上経過すれば仮釈放できますとある」などの書き込みをし、TVのワイドショーのコメンテイターが、「日本の無期懲役は10年で刑務所から出られる」と言うと、その場にいる人が、「無期じゃだめだ、死刑一択だ」などという風潮がおこります。これはかなり怖いことです。
 少し古い話ですが、平成4年の無期懲役の受刑者数は、1688人でその中で10年で仮釈放された人は6人です。最近でも1%未満といいます。仮釈放が決まるまでの平均は45年3か月と言われています。先日58年ぶりに無罪となったあの袴田さんも仮釈放までは48年かかっています。一方刑務所で亡くなる人は41名でした。ですから無期懲役は10年で出てくるなんて話は眉唾ものといえます。ただでさえ冤罪の多いこの国で、死刑制度は恐ろしい制度です。私は死刑制度にはもともと反対です。なぜなら死刑にしてしまったら、その人は極楽に行ってしまうからです。この世で罪は償い、反省ができないうちは死刑にすべきではありません。
 お釈迦様の時代99人、人を殺し続けている殺人鬼がいました。彼は99人の小指を切り首飾りにしていたので、アングリマーラと言われていました。彼は100人の小指で首飾りを作れと師匠に言われていたからです。そして100人目、お釈迦様は彼と出会い、彼を説得し出家させ、弟子にしました。翌日警察がお釈迦様のところに来た時、お釈迦様は「もうここには殺人鬼はいません」と突っぱね、彼を渡しませんでした。しかしお釈迦様は毎日彼に托鉢をさせ、その都度彼は民衆から石を投げられ血だらけで帰ってきました。お釈迦様は「この世でしたことはこの世で精算しろ」と言い、何日も何も食べられない彼を見守り続けました。
 「更生」という言葉があります。一字にすると「甦る」です。生き返るとか、生まれ変わるという意味です。よく「更正」と間違える人がいます。「更生」は正しくさせることではなく、さらに生きてもらうことです。落ち着いて考えたいことです。

合 掌

2024年11月1日 - ≪今月の言葉

空也忌の魚版の月ぞまどかなる  飯田蛇笏

    比叡山の僧侶の帰属化に嫌気がさして市井の僧となった空也

    念仏僧として諸国を遍歴し、満月の美しさに魅了された空也

    最後はみちのくの地で、十三夜に念仏することを夢見た姿は

    京の六波羅蜜寺にしっかり刻まれている。 

2024年10月1日 - ≪法話

10月のお話

 ホームぺージをご覧いただきましてありがとうございます。今月は弟子の岱忠が担当させていただきます。
 暑さ寒さも彼岸までとはよく申したもので、朝夕は涼しくなってきました。夏の疲れと日中との温度差による体調の崩しやすい季節となりますが、どうぞ皆様ご自愛ください。
 さて、私事で恐縮ではございますが、昨年より浄土宗青年会に所属しましてお役を拝命しイベント等の企画運営に携わるようになりました。この10月となりますと、14日のスポーツの日に因んで東京教区浄土宗青年会「チャリティースポーツ・ソフトボール大会」が開催されます。当然、私も参加しますが、このスポーツ大会今更ながら何故大切な日・祝日なのか掘り下げてみたいと思います。
 まず、この日が祝日となったのは、元々は10月10日であったように、この日が1964年の東京オリンピックの開会式であること、そして、戦後の日本が国際社会に復帰する象徴としての意味合いもあり、アジア地域初の開催であるということを含め1966年から祝日となりました。当初は体育の日と名打っていましたが、二度目の東京オリンピックを記念しスポーツの日としてより親しみやすい名に変更したようです。目的は『スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う』ということのようです。
 身体の健康を保つためには自分にあった適度な運動を継続的に行うことが大切です。と言葉ではわかっていますが、怠け癖がある私は「時間がない!忙しい!」などとお恥ずかしい話ですが言い訳をしてしまいます。
 健康を害すると、日々の生活に影響がでますし、やりたいこともできなくなってしまいます。病気にならないようにすることはとても大切なことだと思います。ですが、それだけが健康の目的ではないように思います。それは身体の健康だけではなく、心の健康も大事なことなのではないでしょうか。この世の中、病気にならない人はいませんが、心が健康であれば、たとえ病気になったとしても心の持ちようが変わるのではないでしょうか。
 日本を代表し、世界で最高峰のプロ野球選手の大谷翔平のインタビューで、わくわくするようなレベルの高い試合になればなるほど、高度な技術・体力が要求されるそうです。ですが、最終的な決め手になるのは、体力よりもむしろ精神力ということでした。しっかりした精神力をもつことがとても重要であることを話されていました。これは大谷選手に限らず、私たちにとっても同じことが言えるのではないでしょうか。身体の健康と心の健康の両輪があってこそ本来もつ健康なのです。
 それでは、心の健康を保つにはどうしたら良いのか、それは自分にあった拠り所となるものを持つことだと思います。その拠り所とは、仏の御教えなのです。お釈迦様がお説きになった御教えは日々の生活をより豊かにする為の御教え、言い換えますと心の健康をしっかり保つことに他ならないのです。仏の御教えは数多ありますが、その中でご縁をいただいた念仏の御教えがあります。
 私のような心の弱いものに「つねに念仏してその心をはげませ」と法然上人は説かれました。弱いからこそ、称え続け自身の心をはげます言葉としても「南無阿弥陀仏」を口に出して称えるというお念仏の御教えがあるのだと私は思います。そしてこの念仏の御教えはあらゆる人の心を、称え続けることではげます言葉なのだと思います。困難な出来事に当たった時「だいじょうぶ、だいじょうぶ、なんとかなるさ」という言葉を口に出すことで励ます最上位に、お念仏があるのだと思います。我が名を呼べば必ず極楽浄土に往生させお救いくださる阿弥陀様がおわしますことと改めて私は思いました。
 スポーツの日を契機に今一度、自分の心と身体のことを考え、この両輪をしっかり回し、日々の生活と共にお念仏を称え続け自身をはげましてゆきたいと思います。

合 掌

2024年9月1日 - ≪今月の言葉

秋彼岸袂ひろげて飛ぶ雀  川崎展宏

   落語で使用人が彼岸のことを「ひうがん」となまったので、

   主人が「ひがん」と言えと言い争いになり、領主が

   秋は収穫で忙しいからひがん、春は暢気にひうがんでいい

   決してけんかなどするでないと諭したという。