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住職の言葉

「今月の言葉」や「法話」一覧ページです。
住職:長谷川岱潤

住職の言葉 - 一覧


2021年1月1日 - ≪法話

コロナ禍の中を生きる

明けましておめでとうございます。
 今年も「戒法寺ホームページ」をご覧頂きありがとうございます。
 昨年日本そして世界は、百年に一度の感染病の流行という大変な悲劇に襲われ、多くの人が亡くなり、今なお感染の拡大に、世界中の人々が不安な毎日を過ごしています。
 この感染病は、身体の病と同時に心の病、不安や恐怖、そしてそれがもたらす差別や攻撃的行動という三つのことがスパイラルとなって、ぐるぐる回り出し、悲しい現状を作っています。
 私たちはこのスパイラルだけは止めなければならないと思います。感染という現実が止まらないのなら、せめて不安を少なくし、差別や攻撃的行動を押さえなければなりません。
 しかし不安を減らす材料はまだまだないのが現状です。それなら不安を淘汰する強い心をつくるしかありません。
 人類の歴史は感染病との戦いの歴史です。その戦いの中で人々がいつも力にしてきたのは、宗教であり、信仰です。しかしそのことをなぜか現代の日本人は語れないでいるようです。
 他の人に攻撃的にならないために正義感ばかりが前に出ないために、人を許せるようになるために、不安を乗り越えなければなりません。それは信仰の力によって、自分は目に見えない大きなる力に守られていることを確信してゆくしかないと思うのです。
 どうぞ今こそ、お念仏をお唱えして、仏様、ご先祖様に守られていることを強く信じてください。きっと他の人にやさしく接することができるようになれることでしょう。
 とんちで有名な一休さんは皆さんご存じだと思います。その一休さんは子供の頃の逸話ばかりが有名ですが、実は大徳寺の住職になり八十六歳まで活躍しました。一休禅師は亡くなるとき遺言を書きますが、弟子たちに次のように言い残します。「いいかこの遺言は今見てはならない、この大徳寺がつぶれるか、日本中で人がばったばったと亡くなるようなとき開けなさい」。
 弟子たちはこの言葉を守り、数十年保管しました。やがて感染病がはやり、人々が次々に亡くなりだしたとき、ひとりの弟子が一休禅師の言葉を思い出し、遺言状を見ることにしました。息を飲んで見守る中で遺言状は開かれました。
 書かれていた言葉は「なるようになる 心配するな」でした。
 一同は笑い出してしまいましたが、不安でいっぱいだった心はなぜか落ち着きを取り戻し、日常に戻ることができました。
 この言葉は、今私たちに必要な言葉でもあるでしょう。
 今年も一年、とにかく生きてゆきましょう。

合 掌

2021年1月1日 - ≪今月の言葉

星めがけて賽銭投げぬ初詣  佐野青陽人

明治神宮では夕四時閉門、朝六時開門とのことで、
年越しに初詣はできなかったようだ。
毎年していることができないのは寂しいが、
去年とおなじでないことをすることによって、
今年の変化を期待できるかもしれない。

2020年12月1日 - ≪法話

12月の法話

今月も戒法寺ホームページをご覧頂きありがとうございます。

今年も早いもので、もう最終月を迎えてしまいました。今年は年頭には思いもしなかった、新型コロナウイルス感染病の蔓延という一大旋風が吹き荒れ、日本がそして世界中の多くの方が亡くなり、今なおその感染力の強さに世界中が震撼しています。

私たちの日常は全く変わってしまい、マスクは放せないものになってしまいました。県外への移動も慎重になり、東京の人間は特に、多くの人が実家に帰ることすらできなくなっています。

このコロナ感染病は、身体的病と心の病、つまり陽性反応と不安から来る恐怖心が、もう一つの病、他者への差別や偏見という攻撃を引き起こし、この三つがスパイラルになってぐるぐる回り出しています。あとどのくらい続くかわからないこの病に、私たちは何とか、このスパイラルだけは断ち切るようにしたいと思います。そのために、その力を頂くために、ますます仏さまにすがり、頼ってゆきたいと思います。

「ちりを払い、垢を除かん」これはお釈迦様が知能障害の弟子シュリハンドクに教えた言葉です。弟子たちの中で釈尊の教えについて行けなく教団を出ようとしたシュリハンドクに、ぞうきんを持たせ、この言葉教えて称えさせ、みんなの草履を毎日拭かせたのです。やがてシュリハンドクは悟りを開くまでになりました。 目の前のやるべきことをこつこつ行う大事さ、そんなことを教えているようです。一年の大掃除の時を迎え、家の掃除をすると同時に、心の大掃除、自分自身のこの一年を反省して、お念仏とともに自分を見つめる「仏名会」を毎年12月の18日夜お寺で行っています。今年は集まることができませんが、各家でそれぞれにお仏壇に向かって、念仏する時を作り、この一年のご自身を省みてください。きっと新しい年に、少しでも希望が持てる気持ちになることができるでしょう。

合 掌

2020年12月1日 - ≪今月の言葉

頼もしき未来なりきり御仏名  松瀬青々

お念仏の声と共に、一年の懺悔の集いが仏名会ですが、
お念仏をお唱えしていると、なぜか楽しくなってくる。
そして、先が見えない現在の不安な毎日が
少しだけ希望が見えてきたりする。
そんな錯覚でもしてみたい。そんな今年が終ります。

2020年11月8日 - ≪法話

11月の法話

今月もホームページをご覧頂きありがとうございます。

アメリカの大統領選挙の投票は終わりましたが、まだまだ平穏にはなりそうもありません。自由で民主主義の国といわれてきたアメリカが、恐怖と分断の大陸となっていることに寂しさえ感じます。いつからこんなになってしまったのでしょう。

世界の幸福度ランキングというものがあり、国連の関連機関で毎年調査しているそうです。今年の日本の順位は62位でした。昨年は58位、一昨年は54位と年々下がっています。

平和で、自由で、物質的に恵まれている日本の国民が、あまり幸福を感じていないのはなぜでしょう。ある人がこんな調査を発表しています。世界の既婚者男女を調査した報告で、生活時間の学習活動の頻度で、「何もしていない」と回答したアメリカ人は、47%、フランス人は50%、韓国人37%に対して、日本人は73%とぐんを抜いて高く、さらに「毎日、本を読むなど何かを学んでいる」という質問では、アメリカ人6.6%、フランス人10.5%、韓国人2.9%、に対し日本人は1.9%でした。

日本は先進国の中で社会人が1番勉強していない国になってしまいました。大人になって学ぶことから遠ざかることは、幸福への道から遠ざかることと言った人がいましたが、日本は人材教育などと教育を商品価値を高める手段にしてしまいました。

勉強は人に言われてやっているときは、楽しくも何ともありません。むしろ苦痛に過ぎないでしょう。でも興味のあることを知ることで、自分の成長の変化を実感でき、自分の存在価値が高まってくるのがわかったとき、学ぶことが楽しくなり、自然と勉強したくなる気持ちになるように思います。

そんなとき人は「今、幸せです」と感じるのかもしれません。 かく言う私も学生時代は勉強が大嫌いでしたが、僧侶として人にお話をしなくてはならない中で、仏教のおもしろさ、興味深さを知って、勉強が楽しくなりました。そして肝心なことは、つねに「問い」を持ち続けることだと思っています。

合 掌

2020年11月1日 - ≪今月の言葉

冬に入る平等院の水の皺(しわ)  原コウ子

お檀家の方々と平等院を参拝したのは、もう十八年も前でした。
平等院の住職は私の後輩で、親切な案内もしてくれたし、
また総本山の知恩院や法然上人が荼毘に付せられた光明寺を巡る、
とても有意義で楽しい旅でした。
今年はまだまだそんな団体参拝はできそうにありません。