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5月のお話

 ホームぺージをご覧いただきましてありがとうございます。今月は弟子の岱忠が担当させていただきます。
 朝夕の気温は低く、日中は暑い日差しがあり、寒暖差の激しい初夏となりました。服装選びも難しく体調を崩しやすい気候となりますが、無理せずどうぞご自愛くださいませ。
 さて、今月のゴールデンウィークは飛び石のような形となり、なかなか長期休暇がとりずらい日程となっていますが、この連休の中の5月3日「憲法記念日」に注目してみたいと思います。
 日本国憲法は、ご存知の方も多いとは思いますが、昭和22年5月3日に施行され、「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」を柱として私たちとその子供たち、子孫のために平和を念願し、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓うという素晴らしい憲法として成立し、世界的にも高い評価を受けています。近年、改憲・護憲など様々な議論が起きておりますが、この崇高な平和主義を掲げるのであれば、お互いがお互いを尊重しどちらか一方の正義を主張し、強いるのではなく、平和を基に認め合い歩んでいくことを忘れてはいけないのだと思います。
 仏教には「戒」と「律」というものがあります。お釈迦さまのもとで、僧侶が大勢集まり生活を共にするようになると、秩序を維持するための規範が必要となり、この「戒律」ができたのです。集団におけるルールとして「律」があり、これを破る場合罰則が与えられます。一方「戒」とは自ら積極的に守っていこうとする、言わば努力する決めごとです。仏教徒の大原則として、戒・定・慧の三学を修しさとりを目指すことが根底にあります。煩悩をおさえ心を戒め、それによって心を静め、そして静かになった心で真理を知るという、戒律から始まる非常に重要なプロセスなのです。
 ですが、この三学を修めるということは非常に難しく「智慧第一の法然房」と呼ばれる法然上人は、僧侶であるにもかかわらず「我れ三学の器にあらず」として、三学の実践とは別に、誰もができる「南無阿弥陀仏」と称える、称名念仏の教えを説きました。
 法然上人は、「酒を飲んではいけないのでは」という質問に「飲むべくもなけれども、—この世の習い」と答えられています。だれもが称えることのできる念仏を称えることが第一であり、日常の些細なことよりも本質的なことが大切なのだと示されているのだと思います。
 法律に明言されている言葉や条文があるから、それを守るというのではなく、根本は人々が共に幸せに歩んでいけるようにするための究極の原則が憲法なのだと思います。そして、すべての人が共に歩み平和になるには、自身が煩悩に満ちて、正しくみることができず固執してしまうことを知ることが必要なのだと思います。まさに私たち自身が「三学の器にあらず」と言えることなのだと思います。
 誰もが凡夫であるということを自覚するからこそお互いが歩みより、その心がお念仏の御教えには内包されているのだと思います。
 まずは、私自身、傲慢にならないようお念仏を称え続けたいと思います。

合 掌