12月のお話
アメリカの大統領選挙も終わり、トランプ氏が圧勝しました。トランプ氏の勝利が決定したころから、黒人の人のスマホに「明日朝10時に農園に集合しなさい。その際身体検査もあります」というメールが飛び交ったそうです。どうもトランプ陣営からの行動だそうで、黒人を奴隷としていた時代を彷彿させるものだそうです。今回の選挙でわかったことは黒人男性は民族差別よりも女性差別の方が強いということがはっきりしましたが、トランプ氏は勝ったとたんにその本性をあらわに、自身の人種差別を明確化したのでしょう。
それにしても人権問題に携わっていて一番厄介なものが、この男性の女性差別です。これほど根強く、潜在意識に定着している差別は他にありません。普段は顔を出さなくても、いざ権力を持つとなるとはっきりと出てくるのでしょう。ガラスの天井とはよく言ったものです。又お酒が入ったりしても、ちょくちょく顔を出すこともあり、まことに困ったものです。人類史上最も古く最も深い差別です。
私たちの浄土教で所依の経典としている『仏説無量寿経』には、女性を救いたいの一心から、阿弥陀仏の誓願の第35願に「女人往生の願」があります。阿弥陀仏は第18願で、すべての人を救うとしていますが、極楽が男性だけの世界ということで、あえて第35願で女人は男性に生まれ変わって往生するとしています。 先日も女性と論議になってしまったのですが、「これは差別以外の何物でもない」と言われました。私は2,100年以上昔のインドで、女性が全く救いの対象から外されていた時代背景の中で書かれたものであること、また極楽に男性しかいなければもはや男とか女性の区別はなく、どっちになっても一緒だということなど、阿弥陀仏の女性を救いたいという願いをなぜ理解できないのかと論争になってしまいました。
かなり前、DVの被害者救済のNGOの方の講演で、「男性はすべて加害者であることを自覚して話を聞きなさい」と言われ、どっきりしたことを今でも思い出しますが、確かに男性同士の話では、身内の女性だとつい下に見る言い方をしてしまい、その場の女性を傷つけることがあります。男性同士では冗談で済んでも、女性にとってはそれでは済まないことを、よくよく考えないといけないようです。でもこれは昭和の人間の話で、若い方々には何を言っているのかと、男性にも怒られそうです。
経典も言葉であり、その理解は確かに難しいのですが、言葉だけにとらわれず、何が言いたいのか、どこが神髄なのかを探りながら、読んでいただきたいと思いました。
合 掌