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11月のお話

 最近トクリュウ(匿名・流動型犯罪)なるもの、いわゆるSNSを使い、闇バイトで募集した人間が犯す強盗事件が関東で多発しています。実行犯となった人は、皆自分の個人情報を握られ「断れなかった」と言っていますが、いざ逮捕され、その罪の重さを知ってさぞや驚愕していることでしょう。なぜ言われるままに、あそこまでの凶悪行為ができるのか、全くわかりません。
 ただ先日の裁判で、無期懲役刑が出た被告人が、「裁判員裁判なのだから最高刑『死刑』を求めた」との記事を読み驚きました。法律に詳しい方がネットで、「刑法28条に無期懲役でも10年以上経過すれば仮釈放できますとある」などの書き込みをし、TVのワイドショーのコメンテイターが、「日本の無期懲役は10年で刑務所から出られる」と言うと、その場にいる人が、「無期じゃだめだ、死刑一択だ」などという風潮がおこります。これはかなり怖いことです。
 少し古い話ですが、平成4年の無期懲役の受刑者数は、1688人でその中で10年で仮釈放された人は6人です。最近でも1%未満といいます。仮釈放が決まるまでの平均は45年3か月と言われています。先日58年ぶりに無罪となったあの袴田さんも仮釈放までは48年かかっています。一方刑務所で亡くなる人は41名でした。ですから無期懲役は10年で出てくるなんて話は眉唾ものといえます。ただでさえ冤罪の多いこの国で、死刑制度は恐ろしい制度です。私は死刑制度にはもともと反対です。なぜなら死刑にしてしまったら、その人は極楽に行ってしまうからです。この世で罪は償い、反省ができないうちは死刑にすべきではありません。
 お釈迦様の時代99人、人を殺し続けている殺人鬼がいました。彼は99人の小指を切り首飾りにしていたので、アングリマーラと言われていました。彼は100人の小指で首飾りを作れと師匠に言われていたからです。そして100人目、お釈迦様は彼と出会い、彼を説得し出家させ、弟子にしました。翌日警察がお釈迦様のところに来た時、お釈迦様は「もうここには殺人鬼はいません」と突っぱね、彼を渡しませんでした。しかしお釈迦様は毎日彼に托鉢をさせ、その都度彼は民衆から石を投げられ血だらけで帰ってきました。お釈迦様は「この世でしたことはこの世で精算しろ」と言い、何日も何も食べられない彼を見守り続けました。
 「更生」という言葉があります。一字にすると「甦る」です。生き返るとか、生まれ変わるという意味です。よく「更正」と間違える人がいます。「更生」は正しくさせることではなく、さらに生きてもらうことです。落ち着いて考えたいことです。

合 掌