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4月のお話

 ホームページをご覧頂きありがとうございます。今月は弟子の岱忠が担当させて頂きます。
 先月当山に於いて、浄土宗開宗850年記念慶讃法要並びに春彼岸中日法要が盛大かつ厳粛にお勤めができましたことを大変感謝申し上げます。医師であり写真家でもある井上先生による、「生命の不思議―生命といのち―」と題してのご講演は大変興味深く、「命」とは始まりと終わりがある語として定義し、「いのち」とは生と死を超えたような循環していく「流れ」のような位置づけにし、この命の世界で生きていく私たちが如何にして生死の営みから「いのち」と俯瞰し、命からいのちへのプロセスを先生が実際に見聞きし収めたサバンナでの躍動感溢れる写真を基に、医学的な見地からお話されました。そのプロセスの中で、「ありがとう、感謝しています」のような、単純ではあるものの理屈ではなく良い言葉を繰り返し、思うより口に出して言葉にすることが、その第一歩であると語られ、すぐさま浄土宗僧侶である私は納得がいきました。
 というのも、皆様ご存じの称名念仏の御教えを説いた法然上人は、「南無阿弥陀仏」と思うのではなく口に出してお称えしなさいと説いた言葉と正にマッチしたように感じたからです。南無とは仏様に帰依し、感謝し、敬う言葉の音写後であり、その後の言葉に阿弥陀仏が入ることで、阿弥陀様に帰依し、感謝し、敬うということなのです。そして、阿弥陀様のサンスクリット語では、量りしれない光をもつアミターバと量りしれない寿命をもつアミターユスから成る語源からナムアミダブツ=南無阿弥陀仏なのです。
 このように「ありがとう、感謝しています」という言葉は南無阿弥陀仏に包摂され、阿弥陀様のいのちを超えた御姿と、南無阿弥陀仏と口に出してお称えすればだれもが救われる量りしれない光を放つお救いの御姿が阿弥陀仏なのです。
 だからこそ常日頃からお称えし、後生を確実なものとし、自身の生活をより豊かなものにしていく言葉が「南無阿弥陀仏」なのだと思います。
 このような素晴らしい御教えをお説きになった法然上人が浄土宗を開宗し850年の時が経ちました。大本山増上寺では、浄土宗開宗を慶び讃える浄土宗開宗850年慶讃会並びに御忌大会を4月2日から9日まで奉修されます。例年と比べ今年は桜の開花が大幅に遅れ、この御忌大会期間中はみごとに咲き誇ることと思います。芝、大門では各寺院の住職が集まり、桜花爛漫の中、歴史を感じさせる春の風物詩、お練り行列を観ることができるかと思います。称名念仏の御教えに感謝し、是非、お花見も兼ねてご参詣くださいますようお願い申し上げます。そして、ご一緒に南無阿弥陀仏とお称えできればと思います。

合 掌