siteLogo
  • TEL : 03-3441-8971
  • FAX : 03-3441-8702

1月のお話

 戒法寺ホームページをご覧頂きありがとうございます。
 新年明けましておめでとうございます、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 今年は辰年です。干支の動物は龍、龍は十二支の中で唯一架空の動物です。龍は変幻自在の能力を有し、天空と地上を結びます。海の彼方の竜宮から舞い上がり、災難を除き福を招く仏教の守護神です。
 寺院の天井に龍の絵を描く絵師に聞いた話ですが、龍は九つの動物の集合体で、角は鹿、頭のこぶはラクダ、眼はウサギ、耳は牛、身体は蛇、腕は虎、爪は鷹、鱗は鯉、尻尾はワニでできているそうです。それぞれがそれぞれの個性を邪魔することなく、仲良く共存させたとき、龍のエネルギーになるということです。
 また絵師の方はこんなことも話されていました。その名前の音は「リュウ」つまり流れで物事を捉えましょうというメッセージだそうです。瞬間、瞬間の部分で物事を見るのではなく、時間の経過も含め全体で物事を見てゆきましょうということだそうです。「人生は部分で見たら悲劇だが、全体で見たら喜劇である」というのはあの喜劇王チャールズ・チャップリンの言葉だそうですが、確かにその場その場で立ち止まり判断するよりも、流れを見て全体で判断することが、人生を楽にしてくれそうです。
 以前ひろさちや師がフランスのモラリスト、ラ・ロシュフーコーのこんな言葉を紹介してくれました。「あまりにも性急に恩返しをしようとするのは、一種の忘恩行為である」。我々はいろいろな方からお世話になり、早く恩返しをしなければと思いがちですが、それはかえって忘恩になるというのです。「恩」という言葉の古代インド語の語源は、「クリタ・ジュニャター」ですが、その直訳は「なされたことを知る」です。つまり「知恩」ということです。相手の人が私に何をしてくれたか、それがどれだけありがたいことなのかを知って忘れないでいること、それが「知恩」です。親の恩というのも、親が私に何をしてくれたか、それを知ることが一番大事なことということです。
 今年は「浄土宗開宗850年」の年です。京都の総本山の名称が「知恩院」であるように、私たちは今年改めて宗祖法然上人の遺徳を偲び、その教えをしっかりと学び、法然上人が説かれた「お念仏」を実践してゆくこと、それが法然上人への恩を知ることになると思います。法然上人はとにかく「お念仏を唱えよ」とおっしゃっています。理屈や理論は必要ありません。毎日お念仏を唱えてゆきましょう。

合 掌