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11月のお話

 戒法寺ホームページをご覧頂きありがとうございます。
 最近のパレスチナ自治区ガザの状況に心が傷んでいます。20年以上前、アーユスの創始者茂田真澄氏や大河内秀人氏らがパレスチナの両自治区を訪れたとき、帰国時にテルアビブの空港でカメラのフイルムをすべて没収されたことを思い出しました。
 国連の事務総長の言葉通り、長い長い両者の争いは根深いものがあることは事実ですが、オセロ合意の元、自治区は守られなければならないものです。今回イスラエル側に1400人の死者が出たことで、ガザの230万人をせん滅するかのごとくイスラエルの行動は、とても人間の所業とは思えません。
 我が国最初の成文法である『憲法17条』の第10条は次のようにあります。「他人が自分と違っているのを怒ってはならない。人はすべて心を持っており、その心がとらわれるのはまちまちである。彼が是とするものを自分は非とし、自分が是とするものを彼が非とすることがある。自分が必ずしも聖人ではないし、彼が必ずしも愚かではない。ともにこれ凡夫である。是と非を一体誰が定められようか。リングに端がないように、賢と愚は定められない。だから他人が怒ったならば、自分に過失があるのだと思い、自分が正しいと思っても、多くの人に順じなさい。」(ひろさちや師訳)
 この今から1419年も前に制定された条文をイスラエル政府及びハマス双方に見てもらいたいと思います。そしてくどくなりますが釈尊の金言「実にこの世においては、怨みに報いるに怨みをもってしたならば、ついに怨みのやむことがない。怨みを捨ててこそやむ。これは永遠の真理である。」『法句経』第八(中村元訳)を確認しておきたいと思います。
 ひろさちや師が講話の中でよくおっしゃっていた『カルニアデスの船板』という命題があります。ギリシャ哲学の命題で、「大海原で難破した船の乗員が、一人しかつかまれない船板につかまり救助を待っていたとき、もう一人乗員が泳いで近づいてきた。貴方はどうするか?」というものです。自分が生き延びるには相手を追い返す、つまり殺すしか方法はありません。現実社会の法律では、相手を殺しても正当防衛です。又相手が貴方を殺しても緊急避難で認められます。つまりこの世界の正義は力の強い者勝ちです。この世界は所詮弱肉強食だということです。私たちは正義に頼るのではなく、宗教心、自分の仏性に従いたいと思います。仏教の心では、私は相手に板をあげるしかありません。どんな状況でも相手と争うこと、相手を殺すことはするなというのが仏教でしょう。そこは確認しておきましょう。

合 掌