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11月のお話

 ホームページをご覧頂きありがとうございます。今月は弟子の岱忠が担当させて頂きます。朝夕の気温が下がり、冬の訪れを感じさせる季節となってまいりました。
 先月、浄土宗東京教区青年会の教団見学会で伊勢神宮を参拝して参りました。古くからの作法に従いまして、外宮から参拝し、内宮を参拝しました。現地の専属ガイドの方に同行していただきまして3時間以上かけて各社殿の説明をいただきました。その説明の中で各社殿は、20年経つと建て替える「式年遷宮」が行われるということ、また、釘を使わない木組みの技術により、古い建材を再利用し、別の神社に用いたり、倒壊したお社に優先的に回すという無駄をしないということに、驚きとともに神聖な雰囲気に圧倒されました。
 また、伊勢神宮の財政が困窮し、建て替えが困難に陥った折に浄土宗を含めた僧・僧尼たちが全国を巡ってお布施を集め内宮にかかる宇治橋の維持や建て替え、式年遷宮までも再興することができたそうです。明治初年の神仏分離令が発令するまでは伊勢神宮の内外に天台宗、真言宗、禅宗系や浄土宗など多くの各宗寺院が60ケ寺以上あったそうです。このような神道と仏教の関係を垣間見る貴重なお話が聞けました。
 一人では中々行けないお伊勢参りなど、このような貴重な体験ができた教団見学会を忙しい時期にも関わらず快く送り出していただきました住職と奥様に感謝申し上げます。また、ただ体験しただけでなく、その体験を共有し議論できた青年会員の仲間たちにも感謝申し上げます。
 帰りの新幹線で以前、住職が阿含経の一説をお話しされたことを思い出しました。それは釈尊と弟子の阿難との会話で、阿難が「仏法を学び、そして共に仏の道を歩む。このような善き友がいるということは、悟りのどのくらいを達成したといえるでしょうか?」との問いに「善き友がいることは悟りの全てだよ」と答えられたお話です。
この「善き友」はカルヤーナ・ミトラというサンスクリット語を善き・友と訳されました。カルヤーナは「善き」、「真の」や「幸福の」という意味があり、善き友を言い換えますと幸福へ導くありがたい友ともいえ、また、仏道を歩む身を衣食住のさまざまな方面から守る友がいるのだと思います。そしてこのような善き友がいる世界がまさに仏のご縁の一端なのではないでしょうか。
 一般家庭で育ち、お寺との繋がりが強かったわけではない私ですが、30歳過ぎてから師匠に出会い、出家し、多くの僧侶に出会い、そして支援していただけるお檀家様、いま正に仏道を歩まさせて頂けるこのご縁に感謝したいと思います。
 住職が以前、東京教区青年会の事務局長を拝命しこの「善き友」の輪を築き上げてきたことが巡り巡って、そのバトンを受け取ることができることに改めて感謝し、若輩者の私ですが、より良き輪を繋げていけるよう精進したいと思います。

合 掌